コラム~第74回「小規模宅地の同意書」
2025.9.25
小規模宅地の特例がある。特定居住用宅地、特定事業用宅地、特定同族会社事業用宅地、貸付事業用宅地等がある。
その特例を受けるには、相続人の選択同意書が必要となる。
選択同意書とは、小規模宅地の特例対象土地を取得した相続人の同意書の提出が必須要件となっている。小規模宅地の評価減は、その対象土地を相続した者の土地評価額が50%~80%減価なり相続税額のアンバランスが生じることから、特例を選択する者は他の相続人の同意を得ることを要件とされている。
同意については、相続人全員ではなく、対象となる土地を取得した相続人に限られている。この同意書がないと小規模宅地の特例を受けることができないので注意を要したい。
併せて、遺産分割が未了の場合には、小規模宅地の特例を受けることができないので、未分割で申告する場合は、当初申告時(期限後申告も含む。)に3年以内の分割見込書を提出しないとこの特例は受けられないことも頭に入れる必要がある。
また、遺贈で取得している場合は、遺産分割の必要がないことからこの特例の対象となるし、申告期限までに遺産分割が未了である場合、この特例を受けるために、小規模宅地の特例対象土地を部分的に遺産分割して遺産分割をすれば、この特例を受けることができる。
小規模宅地の特例は、大きな節税効果があり、この特例を活用することが遺産分割のポイントとなるが、その要件に注意をしたい。
なお、この特例は税務の特例であり、本来の遺産分割の前提になる不動産の時価とは異なるので、遺産分割又は遺留分の計算では時価と異なり揉める場合があるので留意する必要がある。