コラム~第57回「みなし償却資産税の規制」
2024.12.23
コラム第57回
テーマ:「みなし償却資産税の規制」
みなし償却資産税とは、平成16年度の固定資産税の税制改正で創設された制度である。
この制度は、固定資産税の家屋の所有者以外の者がテナントとして自らの事業のために他人の家屋に取り付けられた空調設備、給排水設備等の特定付帯設備については償却資産税として課税されることとなっている。そのために、当初の所有者の固定資産税についても家屋の特定付帯設備として課税される結果、固定資産税と償却資産税とで二重課税されていることを考慮して二重課税を廃止するために設けられた制度である。
しかし、最近において、その制度を悪用して、エレベーター設備、空調設備等のテナント等が一般的に付けない明らかに家屋に付合する設備を子会社等が負担し、自らの事業のために取り付けたものとみなし、償却資産税の対象として申告し不動産取得税や固定資産税を節税する「設備分離スキーム」として売り込むコンサルタントが目立つようになり、課税庁では問題としている。
そこで、総務省は、令和7年度の税制改正で、この「設備分離スキーム」の封じ込めを図る方針のようだ。
具体的には付帯設備であっても、通常は家屋と一体的に整備されると認められ、かつ、家屋を毀損しなければ家屋に取り付ける又は家屋から取り外すことができないものは家屋として課税することとするようだ。すでに設置されている特定付帯設備にまで見直しするかどうかも検討している。
したがって、過度な節税スキームを展開する場合には、やりすぎると課税庁の規制がかかることに注意を要したいものだ。