コラム~第56回「土地価格批准表」
2024.12.19
コラム第56回
テーマ:「土地価格比準表」
国土交通省発行の「土地価格比準表」がある。この「土地価格比準表」は、国土利用計画法(昭和49年創設)に基づいて、国又は地方公共団体が道路用地、公園用地等の公益目的で土地を買収する場合、不動産鑑定士に買収価格の鑑定を依頼することとなるが、その価格を評価する場合、不動産鑑定士は、この「土地価格比準法」を参考しなければならないこととなっている。
いわゆる、国又は地方公共団体が土地を買収する場合において、その適正価格を決める評価の判断基準となるものである。
なお、バブル期において、100㎡以上の土地を売却する場合は、その売買価格を事前に都道府県に届出する制度があった。その時には、その売買価格について適正価格(不動産鑑定士が判定していた。)以上の取引については、その取引価格を下げる行政指導があり、土地の価格の高騰を抑制することを目的した。その結果、銀行の総量規制として土地取引の融資が厳しくなり、土地取引を規制することにより、土地神話が崩れ、土地価格が急落した。
その規制も土地の下落ともに、平成6年以降規制対象土地が2000㎡以上となり、現在では、市街化区域では2000以上の土地取引について事後の届出をするように緩和されている。
この「土地価格比準表」については、国の評価基準であることから、相続税土地評価における財産評価通達の裁決判決においても、土地の個別的要因の補正率の判断基準に利用されている。
なお、鑑定実務においては、この補正率は、一般基準であり、細かな土地の個別性を反映しておらず、実務的には参考にしているが、不動産鑑定士の鑑定評価についてはあまり利用はされていない。