コラム~第54回「資産税のOB活躍」
2024.11.5
最近、資産税の税務について、税務署OBの活躍が目立つ。特に、セミナーの講師、実務書等において、税務署の資産税評価担当官としての実績を踏まえ、難解な土地評価の税務署的判断を開示されて実務的に大いに参考となっている。
しかし、その判断においては、裁決判決事例を根拠に判定されているが、もう一つ不満なのが不動産専門家としての配慮がないように思われる。
不動産市場においては、税務評価で割り切れないことが多く、裁決事例や判決事例の判断に鑑定評価と異なる判断がされる場合がある。いわゆる、税務署的な切り口での考え方であるが、鑑定評価的な切り口も検討すべきと思われる事案もある。
そこで、税理士であり不動産鑑定士をも有している精通者の意見も大事となる。
私も税理士・不動産鑑定士でもあるが、なかなか意見の発表ができず、苦慮している。鑑定協会でもあまり問題とされていないこともあり残念である。
なお、裁決、判決で鑑定評価が問題され、その評価の合理性が否認されているケースが
多く、実務書等で鑑定評価の合理性が問われている。
残念ながら鑑定評価の合理性がないものが判決裁決で使用されていることで鑑定評価
の質が落ちていることは否めない。不動産鑑定士も肝に銘じて、鑑定評価の質を上げる努力をすべきであると思う。