コラム~第53回「特定路線価」
2024.10.21
最近、特定路線価を申請したところ、固定資産税路線価があるのにも関わらず、その固定資産税路線価を無視した特定路線価が付された事例があった。
その土地は、片側が階段状となっており、車両の通行ができない一方通路状の道路である。建築基準法の4m道路であったが、利用価値の劣る道路である。固定資産税路線価は令和6年で550,000円となっている。相続税の路線価はなく、特定路線価の申請をした。
特定路線価は、800,000円であった。通常、特定路線価は、固定資産税路線価のバランスを取り、550,000円÷0.80≒690,000円程度であろう。
路線価担当の税務署に確認すると、近隣の通り抜けの道路の相続税路線価(比準宅地)をベースに道路の連続性、交通接近性、環境等から対象土地の路線価は、比準宅地の+15を行ったとの回答(特定路線価の算定については情報開示ができることとなっている。)であった。
確かに、対象土地は第2種住居地域で容積率は400%であるが、幅員4mであるので4m×40/100=160%しか建物が建てられない。比準宅地(これも教えてくれる。)の土地は幅員6mとなっているので、容積率が6m×40/100=240%となる。駅には対象土地が近いので交通接近性はプラスとなるのであるが、周辺の商業地(4m道路、容積率600%)の裏側の路線価と同一の価格である。いかにもバランスが崩れているので明らかである。
税務署が一度通知しているので、是正することはできないという。なお、その価格の算定根拠は情報開示できるので申請してくれという。ただし、再調査又は不服申立はできないという。
何と理不尽なことである。