活動報告

コラム~第41回「路線価」

2024.4.25

相続税の路線価とは、評価通達14に定義がある。そこでは路線価の評価方法が定めており、その評価方法は義務的なものである。

しかし、現実では、特に、東京23区等ではその評価方法で求められているが、神奈川県、埼玉県、千葉県等の首都圏近郊都市では、必ずしもその評価方法を適用しないで、前年の路線価に変動率を乗じて求められているのが多い。

神奈川県では、アップダウンの地勢から高低差の問題がある。税務署の判断基準は、路線価にその減価が含まれているとか周辺の地勢に高低差があることから高低差の減価が認めないとの回答がされることが多い。

当事務所において、神奈川県の土地評価の依頼が多く、そこで、税務署に評価通達14の規定通り、路線価に高低差が反映しているかどうかを聞いてみると神奈川県の路線価評価では主要標準地では行っているが通常の標準地では行っていないとの回答であった。それでは、路線価の評価は違法ではないかと主張し、国税不服審判所で不服申立を行った事案がある。

そこで審判所の判断は、路線価は、全ての路線に標準地を選定するまでとは定められていないから、国税局長による路線価の設定方法が評価通達に違反しているとはいえないし、本件各土地は、いずれも地盤面と正面路線との間に高低差があるものの、その高低差は、各路線設定区間に接する一連の宅地に共通している地勢の範囲内にあるものの、その高低差は、各路線価設定区域に接する一連の宅地に共通している地勢の範囲内にあるものと認められることから、本件各土地の高低差は、本件各土地の利用価値を著しく低下されるものであるとは認められないと一蹴された。

そうすると、路線価に高低差が反映しているかどうかは納税者が立証責任があり、税務署の何の理屈もなく裁量で決められることになっていることに理不尽を感じる。


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