コラム~第40回「連帯納付義務」
2024.4.8
相続税の連帯納付義務とは、相続人の内、財産を取得したのにかかわらず、浪費等で相続税の納付をできない相続人の未納相続税について、他の相続人が、相続により取得した財産の範囲内で納付する義務がある。通常では、あまりないと思われるが、未分割の場合で納税額が多くなると最近国税局ではこの規定により連帯納付義務による請求が多くみられる。
納付しない相続人のために他の相続人が何故納税をしなければならないという、その相続人にとっては、踏んだり蹴ったりとなる案件である。
通常は、財産取得した相続人について納税義務があり、その相続人に納税が催告され、それでも納税しなければ、その相続人の財産を差し押さえして、それでも納税が不可能であれば、他の相続人に請求されるものと考えるが、最近は、そうでもなく、未分割のある場合は、その手順は取られないようである。
私の事務所でも最近このケースがあり、未分割で申告し、多額の相続税が未納となっている相続人がいる場合、未分割期限から6ヶ月くらいで、他の相続人に対して、この連帯納付義務を請求されている。したがって、遺産分割が揉めており、未分割で申告した場合、その未納相続税が多くなると、国税局が連帯納付義務により履行を請求してくるので注意をしたい。未納している相続人の責任であり、納税した相続人は関係がないと思っていると連帯納付義務の責任として、予告なしに請求が来ることとなる。未分割の場合は、未納相続税も考えて遺産分割を検討することも重要である。