コラム~第37回「先出しじゃんけん」
2024.2.28
相続税申告において、判断が難しい土地評価において、当初申告で評価減をして申告するか、申告後更正の請求により評価減を主張するか実務上悩むことが多い。
いわゆる、「先出しじゃんけん」か「後出しじゃんけん」かの選択である。
「先出しじゃんけん」は、否認されるというリスクがあり、「後出しじゃんけん」は、是認される率が当初申告よりも50%くらい低下するデメメリットある。また、最近、更正の請求では、挙証責任について、十分な根拠が求められるようになった。簡単に認めてはくれない。
制度上、当初申告で減価をして申告する場合、その減価を否認する場合、課税庁の挙証責任がある。一方、更正の請求をして減額申請をする場合、納税者に挙証責任がある。
税務署の挙証責任については、その減額を否認するには担当者の手間をかかる。否認する場合には、理由の付記を充分に検討し、国税局の承諾を得ることが必要であるなど事務的に煩わしいことがあり、否認することも容易ではない。
そこで話し合いになる。
そこでのポイントは、全額否認を認めるのではなく、鑑定評価の考え方、減価の理論的な考え方を駆使し、減額の一部を認めてもらうことにある。税務署、税理士、納税者の三方一両損の考え方である。