コラム~第36回 個別通達「居住用の区分所有財産の評価」について(3)
2023.10.26
今回は、計算例とまとめを紹介する。
評価乖離率(=A(「築年数」)+B(「総階数指数」)+C(「所有階」)+D(「敷地持分狭小度」)+3.220(「定数」)
計算例
・築年数10年 ・敷地利用権の面積20㎡ ・総階数20階(対象階17階)
・区分所有建物の専有面積60㎡ 全体の土地価格(相続税評価額)30,000,000円
・区分所有建物の固定資産税評価額 10,000,000円
・マンションの市場価格 100,000,000円
- 評価乖離率
「A」10年×△0.033=△0.33
「B」20階×0.239=4.78>1 → 1.0
「C」17階×0.018=0.306
「D」20㎡/60㎡×△1.195=△0.398
(△0.33)+(1.0)+(0.306)+(△0.398)+3.220=2.798
② 評価水準
1/2.798≒0.357<0.6 → 0.6
- 相続税評価額
土地 30,000,000円×2.798×0.6=50,364,000円
建物 10,000,000円×2.798×0.6=16,788,000円
合計 50,364,000円+16,788,000円=67,152,000円
(旧相続税評価額の約1.7倍、市場価格の約0.67倍)
今回の個別通達の考え方を整理すると以下のように考えられる。
- 建物登記簿謄本で簡易に計算できることとなっている。
- タワーマンション等の居住用マンションの評価は、通常相続税評価額の2倍前後となる。
- 貸家の場合、土地は貸家建付地減価(△20%前後)、建物は貸家の減価(△30%)ができる。
- 同居家族が相続したならば、小規模宅地の評価減(△80%)ができる。
- 評価水準の判定においては、市場価格がポイントとなり、鑑定評価が活用できる。
- 一棟マンション、区分所有店舗、事務所等は対象外となるが、過度な節税対策をすると相続税評価通達6項(時価課税)の適用可能性がある。