コラム~第34回 個別通達「居住用の区分所有財産の評価」について(1)
2023.10.26
令和5年10月6日に「居住用の区分所有財産の評価」について国税庁から個別通達が創設された。財産評価基本通達ではなく、個別通達にしたのに意味がある。今後、数値に3年毎に見直すこととなっていたり、居住用マンション以外の評価にも応用ができるように個別通達したようだ。この個別通達は、富裕者層のマンション投資に大きな影響を与えるものであり、また、税理士、会計士、不動産鑑定士等の専門家においても実務上重要なポイントとなる。
そこで、その個別通達について検討したい。
1.評価対象となるマンションは以下のとおりである。
- 区分所有建物の登記がされている一室の居住用マンションが対象となる。
- 居住用の判定は、登記簿謄本で「居宅」として登記されているものであり、事務所等に利用されていても「居宅」であれば対象となる。
- 区分所有建物として登記されていない1棟の共同住宅となる居住用マンションは対象外となる。
- 事務所、店舗等の区分所有建物は対象外となる。
- 地下を除く階数が2階以下の低層の集合住宅は対象外となる。
- 二世帯住宅(居住用の専有部分の一室の数が3以下ですべて当該区分所有者又は親族が居住しているもの。)は対象外となる。
2.評価方法以下のようになっている。
居住用マンション一室の相続税評価額
=土地全体の相続税評価額×共有割合(敷地権割合)×「区分所有補正率」
+一室の建物の相続税評価額(固定資産税評価額×1.0)×「区分所有補正率」
- 区分所有補正率
=評価乖離率②×評価水準③
- 評価乖離率(=A(「築年数」)+B(「総階数指数」)+C(「所有階」)+D(「敷地持分狭小度」)+220(「定数」)
「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位切捨) 「C」=当該一室の区分所有権等の係る専有部分の所在階×0.018 「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第
4位を切上)
(注1)「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。
(注2)「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。)とする。この場合において、総階数には地階を含まない。
(注3)当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階またがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とする。
(注4)当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とする。
(注5)「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とする。
次回に続く