コラム~第33回「消費税の土地建物区分」
2023.7.26
最近、消費税の計算における不動産の購入費用の土地建物区分について、裁決・判決が目立つ。
① 東京地裁(令和5年5月25日)、仕入原価認容、業者の評価方法否認
② 東京地裁(令和4年6月7日) 固定資産税評価額否認、鑑定評価容認
③ 東京高裁(令和4年12月22日)、鑑定評価容認、納税者の鑑定評価否認
④ 東京地裁(令和3年9月17日)、建物控除方式否認、相続税評価額容認
⑤ 東京地裁(令和2年9月1日)、固定資産税評価額否認、鑑定評価容認
⑥ 裁決(令和2年9月3日)売買契約書の金額、固定資産税評価額否認
以上のように、基本は、固定資産税評価額で計算することとなるであろうし、課税庁も原則認めるであろう。
しかし、鑑定評価でも土地建物区分を行えば認められるので、実務的には、鑑定評価の活用も有用である。ただし、基本は、売買契約書の金額が前提であり、その金額に恣意性があれば否認されることとなる。
なお、土地建物の区分の方法については、消費税のみ税法上法律に規定(消費税法施行令45条3項)されており、相続税、所得税、法人税においては、土地建物の区分方法については、通達にはあるが、条文上には具体的な規定がないのが実情である。