コラム~第29回「外国人入管制度の改正」
2023.5.16
悪評が高かった技能実習制度の改正が現在検討中である。日本においては、原則、外国人労働者を自由に受け入れる移民制度がない。外国人の就労に対する門戸は開かれなかった。いわゆる、外国人が自由に日本で働くことを禁止していた訳である。しかし、農業、漁業、建築業等の過酷な仕事、危険な仕事、汚い仕事等について、少子高齢化により働く労働者が少なくなったために、その簡便法として技能実習制度を作り、無理やり条件付きに外国人労働者を入れてきた。建前は、安価な外国人労働者を入れる訳ではなく、技能実習として、日本の技術を習得してもらい、5年以内に帰国して、その国の産業に従事し、その国の産業振興に寄与してもらう制度であった。その実情は、来日時の会社を変えられない、セクハラ、パワハラや賃金の未払が多く、外国人労働者は泣きながら仕事をしていた訳である。また、来日時、多くの実習生が現地の派遣会社に対する紹介料等の来日費用を工面するために借金を抱えており、仕事を簡単に辞められない事情もあり、仕事場を放棄して不法就労が多くなっている。そのために、米国などの諸外国から人権侵害が起きていると批判を受けている。
そこで、ようやく、技能実習を廃止し、転職を可能とする外国人の単純労働者を受け入れることとなった。
日本でも移民制度を導入する改革が始まった訳である。
今後、日本の一般的な会社として外国人の労働者を本格的に受け入れしなければならないこととなる。外国人は、日本人みたいに愛社精神がなく、米国や中国のように待遇が良い会社への転職も多くなることで、日本の会社では外国人労働者の取り扱いに難しくなることを覚悟しなければならない。