活動報告

コラム~第22回「相続土地の国庫帰属に関する制度の創設」

2023.1.23

土地を相続したものの土地利用等の困難から所有者の負担や管理不全の土地が多くなり問題化していた。

そこで、相続等により土地の所有権を取得した相続人等が、土地を国庫に帰属させることを可能とする制度が創設された。(相続土地国庫帰属法1、2③、5①)この法律の施行日は、令和5年4月27日以降となっている。

なお、対象となる土地については、政省令で定める一定の要件(却下要件、不承認要件等)がある。また、土地の帰属につき、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付しなければならない。さらに、施行日前に相続等により取得した土地についても施行日以降、要件を満たせば、国庫帰属させることが可能となっている。

3.長期未了状態の遺産分割の改正

改正前では、遺産分割の時間的制限がなく、相続開始から長期間経過すると相続人の死亡や遺産分割に必要な資料等が散逸し、遺産分割の支障になっていた。

そこで、改正により、相続開始時から10年経過後は、原則として、特別受益や寄与分の規定は適用せず、法定相続分又は指定相続分により遺産分割することができることとなった。(改正民法904の3)施行日は、令和5年4月1日以降となっている。

なお、施行日前の相続についても改正民法のルールが適用されることとなるので注意が必要である。この場合、経過措置により、5年の猶予期間が設けられており、相続開始時から10年経過時または改正法施行日から5年経過時のいづれか遅いときまでに家庭裁判所に遺産分割請求をすれば、具体的相続分の適用があるとされている。

 


一覧へ戻る