コラム~第17回「国内外の送金の注意点」
2022.11.17
日本においては、法人及び個人(外国人も含む)が平成14年から日本国内及び日本国外へ銀行口座を経由して送金した場合、日本の銀行(日本に所在する外国銀行を含む)は、1取引100万円(以前は200万円だった)を超える送金については、税務署にその口座取引をすべて報告する義務がある。(「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」)
そこで日本人以外の外国人についても預金口座について日本国内外に送金すれば、全て税務署に把握されているわけである。
私は税理士であるので、時々顧問先の外国人から「先生、税務署から「国外送金等に係るお尋ね」の手紙がきているのですが、どうして税務署は国外送金を知っているのですか」と聞かれることがある。それは、以上の理由である。ただし、金額だけの報告であり、その内容についてはわからないようになっている。さらに、日本に住所のある法人については、すべて法人番号で管理されており、外国人を含む個人についてもマイナンバーで管理できるようになっており、今後、日本における収入財産については、税務署により管理されていることを頭に入れるべきである。
したがって、自己の預金については、入出金の内容を把握し、適正に管理していないと痛い目に遭うこととなる。また、他人の口座を利用して送金することも外為法違反となり、最悪逮捕されることもあり、外国人は注意をすべきである。
現在、日本いる外国人が増加しており、外国人の所得税申告トラブルが増えてきている。
外国人については、過去10年間に日本に住所を有していた期間の合計が5年以上となる外国人は「永住者」(ビザの永住者とは異なる)として全世界課税となっている。すなわち、外国人で税法上の永住者になると日本以外の自国での収入も日本で課税されることとなっているので気を付ける必要がある。また、外国人が自国で相続した財産についても5年以上の永住者であれば、原則、日本の相続税がかかることも注意したい。なお、税法上の永住者以外の外国人短期滞在者においては、原則、日本における収入についてのみ課税されることとなる。
最近、外国人の税金で問題となっているのが、非居住者(日本に住所を有していない外国人)が不動産を所有していると、その不動産を貸した場合、事務所、店舗として借りている日本人は、その家賃を外国人に支払うときは、その家賃の20%部分を差引支払い、その20%部分を源泉所得税として借主が税務署に納税する義務がある。また、外国人がその不動産を売却した場合、買主は、10%を源泉所得税として預かり税務署に納税する必要がある。
このルールを忘れて取引をすると税金上ペナルティーが発生しトラブルとなっていることが増えてきている。
このように、日本にいる外国人は、日本の税金を知らないと後で痛い目に合うので注意したい。