活動報告

コラム~第76回「競売減価」

2025.10.7

不動産の競売については、平成17年4月1日に従来の最低売却価額制度から売却基準価額制度となり民事執行法の大改正が行われた。

通常、競売価額については、競売減価(競売市場減価)がみられる。

その競売減価の根拠としては、以下のことがいわれている。

①売り主に当たる物件所有者の協力が得られないことが多いこと。

②競売不動産に対する心理的抵抗感があること。

③現況地積や現況床面積が異なっている可能性があること。

④内覧制度を利用する場合を除き、原則として、買受希望者が事前に物件に立ち入って確認できないこと。

⑤隠れた瑕疵が存在する可能性があり、現状有姿で引き渡されること。

⑥滞納管理費等の発生、または増額の可能性があること。

⑦物件明細書の記載は確定的な判断ではなく、既判力もないので、将来裁判によって法律関係が変更される可能性があること。

⑧買受申出保証金として、売却基準価額の約2割を納付しなければならないこと。

⑨物件の引渡しは、買受人が自ら物件所有者と交渉して行わなければならず、事案によっては法的手続きをとる必要があり、経済的負担、時間的負担及び身体的負担があること。

不動産鑑定士が競売不動産の売却基準価額の評価をする場合には、競売減価を行うこととなっており、通常は、その減価については、30%が多いが、物件によって20%から40%の減価もある。競売価額は、時価の30%から50%と見るべきである。競売物件は、訳あり物件であり、競売物件は、相当割安となる。

なお、この競売価額については、上記の事情もあり税務上の時価とは異なることになっているので注意を要したい。


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