活動報告

コラム~第55回「通常地代」

2024.11.18

土地を賃貸借する場合、借地権の授受、通常の地代を決めなければならない。

そこで、実務上、その地代の適正額をいかにすればよいか迷うことがある。

法人税等においては、相当な地代(更地価格の6%)としての規定があるが、6%の地代は著しく高額であり、借地借家法が適用ある場合には、借主に不利な条件とみなされて借地借家法上違反となることもある。

昭和の時代には慣行的に通常地代は、租税公課の3倍程度といわれて事例は多かったが、平成以降、その考え方には問題がある。

すなわち、住宅用土地については、200㎡まで固定資産税等の特例により6分の1に課税標準を計算する特例があり、公租公課の3倍とすると公租公課は著しく割安となる。

また、商業用土地について、公租公課の5倍以上とすると、著しく高額な地代となる。

適正地代については、日税不動産鑑定士会の東京都23区における調査研究資料があり、その資料においては、住宅地では公租公課の4倍程度、商業地も4倍程度となっている。平均的利子率(みなし更地価格の1.5%)は1.5%となっている。

したがって、普通地代の水準については、通達から考えると、底地価格の6%とすると、仮に底地割合が30%として場合、30%×6%=1.8%となる。日税不動産鑑定士会の平均利子率は住宅地で0.5%となっていることから、通達の普通地代は3倍以上となり、相当な高額な地代であり、実態の地代水準からかけ離れている。

普通時代を考える場合、注意をしたいものだ。


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