コラム~第46回「少子高齢化」
2024.7.8
最近、日経新聞に世界の出生率低下の記事が掲載されていた。2023年人口動態統計によれば日本の出生率は1.20と過去最低を更新したとされている。地域別にみると東京都は0.99と最も低い。
一方、世界をみれば、先進国のフランス1.7、ドイツ1.5、イギリス1.6、アメリカ1.7となっている。この国の特徴は、移民国家である。世界中からの移民を受け入れていることから出生率も移民の影響を受けているものと思われる。日本では移民制度がないことから、それだけ出生率が低くなっている。だからといって日本では移民制度をつくる必要があるかというとそうではない。日本の独自性を発揮して考えればいいことであろう。必ずしも出生率を上げればいいというものではない。
また、アジアの国を考えると韓国の出生率は0.72と世界最低水準である。この理由としては、受験戦争が激しく、学習塾などの教育費の負担が重く、労働環境が悪く、住宅価格の高騰しており、生活と子育ての両立が困難であるとのことである。経済の優等生であるシンガポールでも出生率が0.97、台湾が0.87と経済的に安定している国でも出生率が東京の0.99と同じくらいである。
今後世界では経済が発展してきた先進国の少子高齢化が進む。特に注意を要するのは人口14億人に達した中国であろう。年金制度が整備されておらず、貧富の差が激しい中国では、富裕者層が中国から日本、アメリカ等に脱出する人々が増えてくる。最近、うちの事務所でも中国人が日本に財産を移転し、その資産運用をお手伝いする件数が増えてきている。